さくら荘のペットな彼女 01 01 著者:鴨志田 一
2023-05-29 来源:百合文库
まぶたを開くと、白くて肉づまのいいぷっくりしたお尻が目の前にあった。「......ふかり、またお前か」名前を呼ぶと、しなたれかかるような甘えた声で、彼女が耳をくすぐってくる。それに構わず、神田空太は顔に押し付けられひかりのお尻を手で押しのけて、グレーの絨毯から体を起こした。無理やり起こされたひかりが、すねた声を上げたが、ため息ひとつであしらった。「むごいな......」
目を細めて眩しい窓の外を見る。西の空がこの世の終わりを告げるように真っ赤に燃ていた。
「起きたら猫の尻って......俺の青春むごすぎるよ」押し寄せる虚脱感に空太は手で顔を覆った。
「いや、青春とか口走ってる方がもっとむごいか......」そうだと同意するように、膝に乗っかってきた白猫のひかりがあくびをする。続けて、六畳一間の部屋にいる他六匹の猫たちが、飯を食わせろと一斉に合唱をはじめた。