[リバソン]三人の初詣(ヨル×ココロ×ナミ)
ヨルルートで、卒業間近の話です。
※ドラマCDとヨルのshort storyを参考に。
※ほぼ会話のみ、ネタバレ要注意。
一月一日。
死神祭が終わった間もなく、元旦がやってきた。外はまだ雪が大量に降っていて、すごくきれいだ。
真っ白な世界。見ているだけで、心が弾んでしまう。
「ヨル!初詣、一緒に行こうよ!」
「はぁ…お前な。そういう話、雪が止んだから言えよな。だいたい、俺たちは死神で、初詣することが意味あるのか。」
「確かにヨルの言う通りだけど、でもそれは気持ちの問題だよ!」
「よく考えて、この冥府に神社などあるはずがない。」
「それは…生きてた頃、毎年一緒に行ってたから、今年も…」
声がどんどん小さくなっていく。
「仕方がない。」
ヨルが急に立ち上がって、窓際で立っている私に近づいて、優しく微笑んだ。
「わかった。ナミ先生に頼んで、輝夜市への外出許可を出してもらおう。」
「本当?やった!」
私は勢いでヨルに抱きつく。
「い、いきなり何をするんだ?!」
「だって!嬉しくて、つい…」
ヨルの温もりを味わいながら、私はそっと手を離した。
「ごめんね、ヨル。」
「別に、駄目だとは言ってない。」
「えへへ、ありがとう。」
「じゃ、早く着替えて、支度してこい。」
「うん!ちょっと待っててね!」
「あぁ。」
——って、これまではいいんだけど。
「ナミ先生、どうして一緒に行くと言い出すのですか。」
「お前ら、許可を出すだけでありがたく思えよ。たっく、文句言うな。卒業でもしていない死神候補生を子守りなしで現世に出すわけにはいかないだろう。」
「子守りって…こいつはともかく、俺までもか。」
「そうだ。俺から見れば、お前ら全員子供だ。」
「そうなんですか、ありがとうございます。ナミ先生はやっぱりいい人です!」
「素直でよろしい。」
「しかし、嬉しいな!ヨルも、ナミ先生も、私と一緒に現世へ遊びに行けるなんて!」
「おい、目的がずれだぞ。」
「すみません、調子乗りすぎました。」
「そういえば、新しい転入生の話、知ってるか。」
「ううん、全然。」
私は小首を傾ける。
「話だけなら一応聞いたことがあります。何だって、すごく優秀な生徒らしいって、学校中そう噂しています。」
「二人ともずるい…私だけ知らないじゃない!でも珍しいね、こういう時期転入生が来るなんて。」
「そうだな。名前はシズルって言うんだ。」
「シズル…シズル…あ、思い出した!この間の留学生ですか、ナミ先生!」