とり年生まれ(2)
2023-08-01日语睡前故事20210314 来源:百合文库
それを知ったおかみさんは、びっくりです。
「お前さん、大変な事をしてくれたねえ。庄屋さんに、何と言ってあやまりに行ったらいいんだい?」
「なあに、任せておけ。それより今夜は村の衆を呼んで、鳥料理のごちそうだ」
吉四六さんは、平気な顔で言いました。
さて次の朝、吉四六さんは大がまを振り上げて、庄屋さんの家に飛び込みました。
「もう、我慢ならねえ! 村の衆に代わって、庄屋さんの首をもらいに来た!」
「こら、吉四六! それは何の事だ!?」
「おめえさまを生かしておけば、村の衆の命が危ねえからだ」
「命が危ない? そら、一体どうして?」
「庄屋さんとこじゃ、ニワトリを放し飼いにしとるだろうが!」
「そ、そりゃ、わしが酉年の生まれだから、ニワトリを」
「それだ! だからおら、おめえさまの首を切りに来たんだ。村の衆の命が危ねえ」
吉四六さんは、大がまを振り上げて言いました。
「ま、待ってくれ、吉四六。ニワトリの放し飼いが、何で村の衆の命に?」
「そら、庄屋さん、考えてもみなされ。
みんなが自分の生まれ年のけものを放し飼いにしたらどうなるか。
お前さまは酉年だからまだいいが、村の中にはトラ年生まれも、竜年生まれもいる。
トラや竜を放し飼いにしたら、村の衆の命はどうなる?!」
吉四六さんは一段と高く、大がまを振り上げました。
「わかった、わかった。
放し飼いはやめるから!
いや、もう二度とニワトリは飼わないから!
だから、かまを下ろしてくれ!」
庄屋さんは吉四六さんに、ぺこぺこと頭を下げて頼みました。
「そうか。村の衆の命が危ねえから、ニワトリ十羽の首はもらったが、庄屋さまの首は止めとするか」
吉四六さんはそう言うと、振り上げた大がまを下ろして引きあげて行きました。
おしまい
「お前さん、大変な事をしてくれたねえ。庄屋さんに、何と言ってあやまりに行ったらいいんだい?」
「なあに、任せておけ。それより今夜は村の衆を呼んで、鳥料理のごちそうだ」
吉四六さんは、平気な顔で言いました。
さて次の朝、吉四六さんは大がまを振り上げて、庄屋さんの家に飛び込みました。
「もう、我慢ならねえ! 村の衆に代わって、庄屋さんの首をもらいに来た!」
「こら、吉四六! それは何の事だ!?」
「おめえさまを生かしておけば、村の衆の命が危ねえからだ」
「命が危ない? そら、一体どうして?」
「庄屋さんとこじゃ、ニワトリを放し飼いにしとるだろうが!」
「そ、そりゃ、わしが酉年の生まれだから、ニワトリを」
「それだ! だからおら、おめえさまの首を切りに来たんだ。村の衆の命が危ねえ」
吉四六さんは、大がまを振り上げて言いました。
「ま、待ってくれ、吉四六。ニワトリの放し飼いが、何で村の衆の命に?」
「そら、庄屋さん、考えてもみなされ。
みんなが自分の生まれ年のけものを放し飼いにしたらどうなるか。
お前さまは酉年だからまだいいが、村の中にはトラ年生まれも、竜年生まれもいる。
トラや竜を放し飼いにしたら、村の衆の命はどうなる?!」
吉四六さんは一段と高く、大がまを振り上げました。
「わかった、わかった。
放し飼いはやめるから!
いや、もう二度とニワトリは飼わないから!
だから、かまを下ろしてくれ!」
庄屋さんは吉四六さんに、ぺこぺこと頭を下げて頼みました。
「そうか。村の衆の命が危ねえから、ニワトリ十羽の首はもらったが、庄屋さまの首は止めとするか」
吉四六さんはそう言うと、振り上げた大がまを下ろして引きあげて行きました。
おしまい