山を持って来る
2023-07-18日语睡前故事20210222 来源:百合文库
むかしむかし、吉四六さんと言う、とんちの名人がいました。
ある日の事、近所の貧しい家に借金取りがやって来て、
「早く金を返せ! 返さなければ、この家を焼き払ってしまうぞ! それとも、お前の娘を借金の代わりにもらおうか!」
と、おどしていました。
さあ、これを見ていた吉四六さんが、思わず借金取りに言いました。
「やめろ! この人の借金をただにしてくれるなら、どんな事でもしてやるから」
するとそれを聞いた借金取りは、ニヤリと笑って言いました。
「ほう、吉四六さんか。
これは、面白い。
それなら向こうに見えている山を、この村まで引っ張って来てもらおうか。
それが出来たなら、借金をただにしてやるぞ」
山を持って来るなんて、出来るはずがありません。
ところが吉四六さんは、軽く胸を叩いて言いました。
「よし、わかった。
お前の言う通りにしてやる。