第25话 插曲:噩梦和膝枕(13)
ちがう、ちがう、ちがう。
俺の一生はそんなものじゃない。
そんなふうにならないために、俺は未来を変えるんだ。
「しかしまあ、ずいぶん良い夢をみてたようだなぁ?」
やめろ。
それ以上、何も言うな。
「けどもう目が覚めたろ? お前がみていたのは――」
ちがう。
ちがうちがうちがうちがうちがうちがう……!
「全部都合のいい妄想なんだよ」
黒ずんで固まった油のようなニチャリとした声が、俺に絡みつく。
俺の周囲にあるもの全てが、あまりに見慣れていて――
ここがお前にお似合いの場所だと無言で囁いてくる。
『――そもそも過去をやり直せるなんて本気で思っていたのか?』
頭の中に、課長でない誰かの声がした。
知らない声のようで、人生で最も聞いた気もする。
ああそうかこれは――俺の声だ。
『紫条院さんと仲良くなれた? いずれ彼女を恋人にする?』
『妹に慕われるようになってお互いに笑顔で話せるようになった?』
『死別した母さんと再会できた?』
『文化祭を成功させてクラスのみんなから感謝された?』
『全部、全部、全部――お前の妄想だよ』
『哀れな男が人生の最後に見た夢に過ぎない』
頭に溢れる声が俺をあざ笑う。
そんな都合の良い夢は妄想でしかないと。
俺の心に、直接その嘲笑はすり込まれていく。
俺の一生はそんなものじゃない。
そんなふうにならないために、俺は未来を変えるんだ。
「しかしまあ、ずいぶん良い夢をみてたようだなぁ?」
やめろ。
それ以上、何も言うな。
「けどもう目が覚めたろ? お前がみていたのは――」
ちがう。
ちがうちがうちがうちがうちがうちがう……!
「全部都合のいい妄想なんだよ」
黒ずんで固まった油のようなニチャリとした声が、俺に絡みつく。
俺の周囲にあるもの全てが、あまりに見慣れていて――
ここがお前にお似合いの場所だと無言で囁いてくる。
『――そもそも過去をやり直せるなんて本気で思っていたのか?』
頭の中に、課長でない誰かの声がした。
知らない声のようで、人生で最も聞いた気もする。
ああそうかこれは――俺の声だ。
『紫条院さんと仲良くなれた? いずれ彼女を恋人にする?』
『妹に慕われるようになってお互いに笑顔で話せるようになった?』
『死別した母さんと再会できた?』
『文化祭を成功させてクラスのみんなから感謝された?』
『全部、全部、全部――お前の妄想だよ』
『哀れな男が人生の最後に見た夢に過ぎない』
頭に溢れる声が俺をあざ笑う。
そんな都合の良い夢は妄想でしかないと。
俺の心に、直接その嘲笑はすり込まれていく。