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それは初夏の旅だった。

2023-04-02旅行 来源:百合文库
それは初夏の旅だった。一人旅で汽車旅だった。
 初めは、岡山駅から特急やくもに乗った。倉敷駅を過ぎると、北上する。しばらくは、霧立つ高梁川の絶景だった。高梁川を遡って、一時間位すると新見駅に着いた。
 それは、新見駅で一時間うろついて、姫新線津山行ワンマン列車に乗った、あの初夏の旅だった。9時49分発だったか、キハ120系一両の、普通列車だった。
 何駅か忘れた。3人だろうか、女子高生が列車に乗った。そのうち1人だった。
 あのこは、後ろのドアの隣に立っていた。頭を傾げて、世界史の教科書を読んでいた。たったの2、3駅、すっとそこにたたずんだ。私はもっと前のほうに座っていた。
 20歳の夏の、異国の黒髪の少女だった。後ろへ行って、あのこに声かけたかった。だが私は躊躇った。だが私は躊躇った。
 確か中国勝山駅だった。あのこは降りた。私は悔しいでも何でもなかった。ただ、何かに気がついた。
 思い出は忘れた。そのときの気持ちも薄れた。だが歌ならぬ歌を残した。
夏雨の山々越える汽笛なる知識にうつむくワンマン列車
 私は思い出した。この歌は、あのこに贈りたかった。だが私にはその勇気はなかった。その他の思いは何もなかった。ただ、初夏の木漏れ日に贈りたかった。
 そのもう少し前のことだった。三月の終わりだった。私はくじ引きをした。
ほととぎす鳴くや五月のあやめ草あやめも知らぬ恋もするかな
2019年9月6日有感

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